「何泣きそうな声だしてるんですか?」
「葵…?」
「入らないならまた閉めちゃいますよ!」
出来るだけ明るく。
何もなかったかのように。
これ以上暗く出来ない。
「ごめん葵。さっきは…」
「何のことですか?あの人は友達でしょ?」
そんなのただのあたしの希望。
ただの友達なんかじゃないって
あたしが一番良く分かってる。
それでもそう願うしかなかった。
「あ、あぁ。ちょっと久しぶりに話してきた。アイツも元気そうで良かったよ。」
それからの先輩の言葉は頭に入って来なかった。
先輩がただの友達だって言ってる。
だったら、あたしはそれを信じるしかない。
例えそれがどんなに惨めなことだったとしても、
今は先輩を信じる。

