「葵…!」
「どなたですか…?」
部屋の中には白いベッドに横たわる葵と
誰かに似ている30代ぐらいの女の人。
そして、俺に電話してきた倉田舞由華。
葵には痛々しい点滴が繋がれていて、
体のあらゆるところに巻かれている包帯が目を背けたくなる。
「新庄琉依って言います。」
「葵がいつもお世話になってます…」
「あ、いえ…」
多分、この人は葵の母親だろう。
目元が葵にそっくりだ。
「あの、葵は…」
「まだ意識が戻らなくて…」
そう呟いた瞳からは、一粒の涙がこぼれた。
「あら…ごめんなさい……ちょっと出てきますね。」
そう言って、出ていった背中はひどく小さく悲しげに見えた。
きっと俺に遠慮していたんだろう。
扉が閉まった途端に泣きじゃくる声が聞こえてきた。
「あの…」

