「誰だ?」
「あの私…倉田舞由華って言って……一回だけ会ったことあるんですけど…」
倉田舞由華……
あ。
あの生地屋の店員か…
大抵の人は大丈夫な俺が唯一、第一印象で苦手だって思った女。
何故か葵を睨んでいるような瞳をしてるような気がして、ずっと気になっていた。
そんな奴が俺に何の用?
「葵が事故にあって…」
「知ってるよ。」
「えっ…?じゃあなんで……」
来ないのか。
きっとそう聞きたいんだと思う。
電話口からは少し焦っているのか、
時々噛んだような音と、あの病院独特な音が聞こえる。
「なんで俺に聞くわけ?別に俺じゃなくてもいいだろ。」
「そ、それは…」
翼だって行ったし、
きっと愁達も行ってるだろう。
わざわざ避けられてる俺が行くことない。
「俺は………嫌われたんだよ。」
あの言葉だって嘘だったんだ…
俺だけが期待して見た
悪い夢だったんだ。
「それは違います!!」

