部屋に戻ると、珍しく真治がリビングの椅子に座っていた。
「ただいま。」
何かを考えているのか、頬杖をついたまま、何も答えない。
もしかして…
怒ってる…?
恐る恐る、真治の後ろへと回り込む。
「何やってんだよ。」
「えっ…いや、あの…」
「後ろから襲う気?」
んなわけないでしょ…!
なんか心配して損した!
真治の態度はいたって普通。
あたしが辞めるとか、男じゃないって言ったから、もっと気まずくなってるかと思ったのに…
逆に前よりも、話やすい気がする。
「葵。」
急に真治の声がした。
大人びて、どこか色っぽいその声にドキッとした。
「本当に、辞めるのか?」
今までとは違う口調。
顔をあげると、いつもよりも真剣な顔の真治がいた。
いつもなら、輝いている瞳も…
どこか沈んで見える。

