「…失礼します。」
「あら、珍しい人が来たわね。」
あれから、あたしは学園長室へと呼ばれた。
なぜかって…
あたしの正体がばれたら、学園にはいられない。
そういう約束だったから。
「今まで色々とお世話になりました。」
「そんな堅くならないでいいわよ。いつ頃、いなくなっちゃうつもりなの?」
「三日後くらいには、学園を出て行くつもりです。」
出来るだけ早いほうがいい。
長引けば長引くほど、未練が残るから…
この学園には楽しい思い出で最後にしたい。
「そう…随分、急なのね。」
学園長は独り言のように、そう呟いて窓の方を向いて、目を細めた。
まるで、どこか遠い昔の記憶を思い出しているかのように見えた。
「もう、行っていいわ。転校の手続きは全部やっておくから。」
「ありがとうございます。…失礼しました。」
もう、これで学園長室に来ることはないだろう。
後のあたしに残ったのは、残された三日間を楽しんで過ごすこと。
学園長室の扉の前で、もう一度お辞儀をしてから、誰もいない廊下を歩き始めた。

