初恋リミット

昔のことを思い出していて、茗子の話を聞いていなかったらしい。

「ごめん、聞いてなかった」

「もう!……なんか今日は随分上の空だね」

溜め息を吐きながらも心配してくれている。

「久しぶりに帰ってきたから、色々思い出しちゃって」

やっぱりこの土地は思い出が多すぎる。一つ思い出すと芋づる式に甦って、つい過去に浸ってしまう。気を付けないと自分の世界に入ってしまいそうだ。

気を取り直して茗子に聞いてみたかったことをぶつけてみた。

「ねぇ茗子。結局私は幼馴染みの関係を変えることから逃げてただけなのかな?」

「怜士のこと?」

「うん」

きっとこれは茗子にも言えること。茗子とコウスケも関係を変えられず拗れさせた。だからこそ茗子にも聞いてみたかった。

「そうねー……」

それから少し考えるようにどこか一点を見つめて、ポツリと呟いた。

「逃げてた……かもね。たぶんユズは約束に囚われすぎて、一歩踏み出すことが出来なくなってたんだろうね。ま、今更言ったって過去が変わる訳じゃないけど」

その通りだ。今更何を言っても過去は変わらない。過ぎてしまったことはどうしようもないのだ。

「過去を教訓に後悔しない今にすれば良いんじゃない?」

そう言って微笑む茗子。
それはコウスケのことはもう吹っ切ったって感じの顔だった。

私も吹っ切りたい。もう後悔はしたくない。

「よーし、完了!」

そこには完璧に武装した茗子が立っていた。

「乗り込むわよ!敵地に!!」

ぐっと拳を握る茗子さん。

あれ……、茗子さん……?
キャラ、変わってますよ……?