初恋リミット

ふと怜士が考え込むような表情をした。

「……じゃあ俺達は?」

「えっ?」

びっくりしてパチパチと瞬きをする。
今まで私も怜士も私達の関係を言葉にすることはなかった。あえて説明するなら、家が隣同士で、物心着いたときからいつも一緒にいる幼馴染み。でもただの幼馴染みと表現するには近すぎる。
私は怜士が大好きだし、彼女になりたいって思うけど、怜士が望むのはずっと側にいてくれる存在。「好きじゃない」って言われたら終わっちゃうような関係はいらないんだ。
それを知っているから、本心は絶対言わない。

だから、怜士の求める答えは……。

「家族でしょ?」

怜士は満足そうに笑った。

「俺が兄ちゃんでユズが妹」

「ちょっと!私の方が誕生日早いんだから、私がお姉ちゃんでしょ!」

「……いや、やっぱユズが妹だな。こんなガキっぽい姉ちゃんは嫌だ」

「なんだとー!」

そうやってじゃれ合って、疲れていつの間にか寝ちゃって、夕飯の匂いで目が覚めて……。それが私達の日常だった。





「ユズー?聞いてる?ねぇ、ユズってば!」

「えっ!?」

気が付くと目の前にムスッとした茗子の顔があった。