「これって多分、ゼタンの武器…よねぇ?」

ゼタンの右手に、いつの間にか握られていたモノ…


「今度は団扇(うちわ)!?」

祭で、神輿の横などで扇がれている団扇っぽいが…

形を説明するなら、焼き鳥屋のオヤジがパタパタと扇ぐ、ホームベースのような形状の団扇だ。


「この団扇で何とかなるのか?
盾の代わりにはなるかも知れないが…」

「オサ、試しに振ってみたら?
何か起こるかもよ?」

「…よし、どうせやるなら思い切り扇いでみるか!」

ゼタンは攻撃を受けながらも、テニスプレイヤーがボールを打ち返す前のような、バックハンド気味に団扇を構えた。

「でえええええぃっ!!」


ドバブヒュウブオォ!!


凄まじい勢いの突風が起こり、周辺の車や屋根瓦と一緒にデュラハーンの鎧を巻き上げた!

『風が!?
ぐおおおっ、私の身体が!』

散り散りになった鎧。

「よし!」


ゼタンが、今度は団扇の柄を両手で持つ。

柄が3段階にジャキンと伸び、団扇の枠を残して表面がシャッターのように開いて収納される。

…シャッターを開けて出てきたのは、細かい網のような面。


それを見ると、雷堂はニヤリと笑って

「オサ。
これの使い方、もちろん分かるよな?」