3日後…


『青い闘燃志瞳』を持つ[不破雷堂(ふわ らいどう)]は18歳。

高校へは行かず、下町のラーメン屋で修業している。

が、まだ入門して1年弱。

まだ、その仕事のほとんどは出前か食器洗いだ。


「ライ!
ドンブリにスープのカスが残ってるじゃないか!
洗い直し!!」

「へいぃ」

「ゴミも表に出しとけよ!」

「へぇいぃ」


油で汚れた勝手口のノブをひねってドアを開けると、外は抜けるような青空。

梅雨時なのに、それが嘘のような快晴だ。

暗い厨房に居た雷堂は、瞳孔がキュウっと締まる感覚に思わず薄目になる。

「さ…てと!」

ゴミので一杯になった、ズッシリ重いポリ袋を両手に一つずつ持ち、

「…ぃしょっ」

狭い足場を慎重に、カニ歩きしながら外に出た時だった。


ピュイィィィィ…

雷堂の脳に、針が刺さるような痛みが走る!

「ぐ…何だ!?
急に頭が…痛っ!!
………?」

誰かの声が、雷堂の心に語りかけてきた。


『ア…マ…復……

と……の戦士…よ…

バリ…の…れ…』


「!!?」

なかなか厨房に戻ってこない雷堂の様子を見に、勝手口から半身を乗り出すように店長が扉を開けた。

「おい、
どうした?、ライ…」


雷堂は店長の呼び掛けにハッとしたように顔を上げ、

「オヤジさん…
俺…行かなきゃ…
すんません!
あと頼みます!」

雷堂は帽子を脱ぎ捨て、作業着のまま飛び出して行ってしまった…


「何だ、ライの奴…
あ!
アイツ、まだゴミ3つも残して行きやがってぇ!」