「――やっ」 腕を振り払おうとしてるけど 那緒の力は俺に敵うはずない。 それでも頑張って顔を背けてる。 一瞬掴んだとき見えた那緒の顔は 涙でぐちゃぐちゃだった。 「……なんで…?」 那緒は俺を見ない。 腕を掴んだままだから 逃げることもできない。 「…なんで…那緒」 俺の声が届いてるのに 返事をしない。 だから無理矢理両手を掴んで 壁に押し付けた。 「あっ…ちょっと…や!…」 やっと…… 那緒と目が合ったけど やっぱり涙が頬を濡らしてるんだ。 「うー……」 ………え?