年上のイジワル彼氏



 「春川優香、ふっかーつ!!」


 1週間後。

 あたしはピアノ教室に行った。

 やっとピアノが弾けるぅ。

 春川くんにも、会えたらいいな。


 

  「いっぱい休んだ分、練習してきてね」

 先生の何気に厳しい一言に返事をしながら、

 教室を出た。

 あ~あ、彼に会えなかった・・・。


 ガッカリしていると、聴き覚えのある声がした。


  「あれ、今日来てたんだ」


 心臓がとびあがる。

 頬がゆるみそうになる。

 ドキドキする。


  「こんにちわ」

 返事をしながら、見上げると。


 ・・・やっぱあの人だぁー!!!


  
  「最近来てなかったよね」

 優しすぎて、甘甘で、とろけそうですっ。


  「えっと・・・骨折しててピアノ弾けなかったんです」


  「骨折?ふーん、また川に落ちたの?」

  「えっ、や、違いますっ」

  「違うの?」

  「はいっ。カーブしたら、ひとんちの庭に落ちました」

 ふきだす春川くん。

 やば・・・かわいい。

 油断したらほっぺがゆるみそうだよ。


  「そりゃ痛いね」

 コクコクとうなずく。

 
 すると、ふいに腕をつかまれた。