「女将さん。それ以上は、話す必要はありんせん。」









静かな声が聞こえた。








その女性は、笑った。








「すまない、雪洞。ただ・・・凪雛、と聞いてね。無性に、話したくなってしまったんだ。」









女性は立ち上がった。








「凪・・・凪姫とやらは、健やかに過ごしている?」









背を向けたまま言った。








お涼は強く頷いた。









「誰よりも強く、美しく、たおやかで・・・すばらしい日々を過ごしておいでです。」










「そうか。」










その女性は、去っていった。









代わりに、雪洞がお涼の横に立った。