すると、そんな私に気付いた優君が右手を差し出した。 一瞬なんのことか分からなかったが、"つかまって"という意味が分かった時にはもう無意識につかまっていた、 いや、手を繋いでいた。 初めてお父さん以外の男の人と手を繋いだ私は、その手をじっと眺めていた。 暖かくて、ゴツゴツしていて、男の人って感じの手だった。 人混みから抜けると、自然にその手は離れた。 ―3時間、― 少し期待と自信が持てた瞬間だった。