それぞれの教室がある南校舎に、成都の姿は無かった。
 放送室のある北校舎へ向かったが、そこにも成都は居ない。
 1階から4階までくまなく探したが……どこかの教室に紛れてしまっているのか、成都も移動しているのか、全然見付からない。
 もう一度南校舎に戻ろうと、2階の通路へ差し掛かった時だ。

「……!」

 中庭の自販機の前に立っている成都を見つけた。

 そこには、成都だけじゃなく、ここからでは誰だか分からないが、女子が一緒に居る。

『伏兵がいるかもね』

 こんな時に、弓香の言葉が蘇る。
 まさか、なんてことは無いよな……!?

 通路の窓を開けた俺は、思わず「成都!」と大声で呼び掛けた。
 俺は、昇降口へと全速力で駆け出した。