「清治」

 放課後、HRが終わるなり、成都が俺の所にやってきた。
 弓香から、と思っていたが、話が出来ればどちらからでも良いだろう。
 成都はいつになく神妙な顔つきをしている。
 弓香とのことを反省でもしたんだろうか。

「あのさ――」

 真っ直ぐに俺を見て、成都の手が俺の制服の袖を引いた。

「弓香から貰ったチョコ、弓香に返して」

 ……?

 弓香に、返す?

「どうしたんだよ、急に……」

「何でもないから! とにかく、今すぐに返して。貰わなかった事にして!」

 な……っ、いきなり何なんだ!?