「なっちゃんが女の子に囲まれてるからって辛気くさい顔しないでよ。それより、他人のことより自分のこと考えなさいよ」
「俺?」

 どういう意味だ?
 どうして俺が俺のことを考えなきゃならないんだ?

「とりあえず、コレ」

 そう言って、弓香は小さなボックスを差し出してきた。
 水色のそれには白いリボンがついている。

「ビターチョコなら食べられるでしょ?」

「俺にか?」

「折角作ったんだから、要らないなんて言わないでよ」

 俺は、礼を言ってそれを受け取った。
 成都のわがままに付き合って手作りしたのかと思うと、俺も弓香にオムライスの一つや二つ、作ってやるべきだろうか。
 そんな事を考えていると、他のクラスの女子が数人、俺の所にやってきた。