朝。
 いつも通り教室に入ると、そこはいつも通りじゃなかった。

 成都を囲む女子たち。
 成都の机の上に積み上げられたプレゼント。

 そして――笑顔の成都。

「おはよ、清治」

 俺が席に着くと弓香がやってきた。
 
「朝から凄いんだな」

「なっちゃん、今日は来るの早かったよ」

「だろうな」

 大好きな可愛い女の子から貰う、大好きなチョコレート。
 バレンタインは、成都が一番好きな年中行事だ。
 俺は今日一日、ニコニコ顔の成都を見ているのかと思うと気が滅入ってくる。