「そっかー……清治は好きな子いるんだ……。その子にチョコ、貰えるといいね」

 ケーキを食べ終えた皿にフォークを置いて、成都は呟いた。
 何て答えたらいいのか分からなくてすぐに返事が出来ずにいると、成都は俺に視線を合わせてきた。

「ねぇ、清治。その子、可愛い?」

「……可愛いよ、凄く」

 成都は、可愛い。
 可愛くて、可愛くて。

 この腕で抱きしめることが出来たら、どんなにいいか。

「そっか」

 軽く口にした成都は笑っていたけど。
 いつもの笑顔じゃなかった。