「ねぇ、オムライスは?」

 夕食の買い出しに成都と二人でスーパーに来るのは、もう何度目になるだろうか。
 かごの中に俺が入れていく食材を見た成都は、さっきからオムライスを何度も繰り返していた。

「誰もオムライス作るなんて言ってないだろ」

「俺、清治の作るオムライスが好きなんだけど」

「今日は鍋だ」

「コラーゲン鍋!」

「女子みたいな事言うなよ」

「俺、放送部を背負ってるんだけど」

「今日はカプサイシン効果を期待しろ」

「キムチかよ……」

 他愛もない会話をしながらレジに向かうと、成都を見たレジのオバチャンがにっこり笑顔を向けてきた。
 勿論成都も、つられて笑みを浮かべてる。

 慣れたとはいえ、何とも言い難い気分になる。