「こんにちは、亜矢ちゃん」

 あたしがそう言うと、「こんにちは」って返してくれた。

 か、可愛いー!

「みはねちゃん、チョコ買うの?」

「そうだよー。バレンタインになったら、亜矢ちゃんにもあげるね」

 まだ4歳の亜矢ちゃんはバレンタインのことが分かってないみたいだけど。
 チョコをもらえることは分かったみたい。

 二人の秘密だよ、って指切りをしていると、亜矢ちゃんを探す男の人の声が聞こえた。

「おにーちゃん」

 亜矢ちゃんがそういうと、陳列棚の向こうからあたしの幼なじみがやってきた。
 ソイツの名前は、本多大人[ホンダヒロト]。
 こんなに可愛い亜矢ちゃんのお兄ちゃんだなんて信じられない!