「すごーい!」

「海羽の分も作るから、安心してね」

「彼氏のついででしょ?」

「何言ってんの。友達に作るお菓子の方が気合い入るに決まってるじゃん」

「なんで?」

 ぽかんとしているあたしの背中を叩いて、千佳はにやりと笑う。

「彼は何でもオイシイって言うけど、海羽やクラスの子達は違うもん。適当なモン作ったらバレるじゃん。それに、豪華なのをクラスで広げた方が目立つし」

 ちょっと、千佳の彼氏がかわいそうに思えたけど、彼氏よりもあたしを優先してくれる気持ちが凄くうれしくて……。

「楽しみにしてるね」

 あたしは千佳に抱きついた。

「海羽もあたしにチョコ頂戴ね」

「うん。もちろんだよ!」

 バレンタインは、チョコの交換をしようね、って笑って、あたしと千佳はスーパーに向かった。


 


 そのスーパーで。
 あたしと千佳は、見てはならないものを見てしまった。

 アノ噂が、本当かもしれない、なんて。