「え、なんで? 彼氏に怒られるから? あたしに頼まれた、って言えばいいじゃん。てゆか、あたしが千佳の彼氏に話すよ!」

「そうじゃなくて。私、周藤先輩はそんなに好きじゃない」

「何でっ!?」

 どうして!?
 あんなにカッコイイのに!
 あんなに、素敵な声なのに!!

「千佳はときめかないのっ!?」

「海羽には悪いけど、ああいうスカした感じの人って嫌いなんだよね」

「そんなぁ」

 千佳だけが頼りだったのに。
 希望を持っちゃっただけに、ちょっとショックが……。

「あ、でもさ、渡すときに一緒に居てくれる、っていうのは?」

「チョコ渡す気になったんだ?」

 う……それは……。

 思わず口ごもるあたしに、千佳はニヤニヤ顔を向けてくる。

「がんばれ、恋する乙女」

「恋じゃないもん!」