「周藤先輩!」

 気づけば、あたしは先輩に声を掛けていた。

「あ、あの……」

 見ず知らずにあたしに、先輩はニッコリと笑って、「何か用?」って、あの声で、あの、透き通った綺麗な声で返事をしてくれた。
 それだけであたしは、軽いめまいを感じる。

 肌が白くて、顔も小さい。
 こんなに綺麗な男の人、本当にいるんだ、って思う。

 そんな人を目の前にして、あたしの心臓は破裂しそうなくらいにばくばくいってる。
 チョコを渡そうと慌てて鞄を開けようとしても、手が震えてなかなか開かない。