放課後。

 千佳は委員会の当番があるから、あたしは一人で先に帰ることにした。
 鞄の中には、千佳から貰ったケーキと先輩に渡せなかったブラウニーが入ってる。
 渡せなかったのは残念だけど、不思議と気持ちが軽い。
 千佳とケーキのおかげかな。

 荷物をまとめたあたしは、何気なく中庭を通って昇降口に向かおうとした。
 中庭に足を踏み入れた瞬間、あたしの足が止まった。

 誰もいない中庭。
 自販機の前にいる後ろ姿。

 ――周藤先輩だ!

 ど、どうしよう。
 これってチャンスだよね!?

 すっかり諦めていたあたしの心が、一気に加速していく。