先輩は、憧れの人。
 好きと思う気持ちとはちょっと違うと思うけど、どう違うのかなんて自分じゃ分からない。

「先輩に彼女が居ても居なくても、陸上部の何とかってひととデキていようがいまいが、関係無いって! 先輩は先輩なんだからさっ!」

 千佳はあたしの背中をばんばん叩いてニッコリと笑った。

「バレンタインは恋する乙女の味方なんだよ!」

「なんかそれ、恥ずかしいよ……」

 あたしと千佳は笑いながら、チョコレートとラッピンググッズを選んだ。
 千佳のおかげで、沈み掛けてた気持ちが浮上してくるのを感じる。

 あたし、先輩にチョコを渡しても良いんだよね?

 あたしの気持ちは恋と憧れの間をさまよっているけど、チョコを渡せたら何か分かる気がする。

 あたしが変われる気がする。