「根拠なんて無いんでしょ?」

「多分……」

「ファン、やめるの?」

「やめないよ!」


「だったら、海羽は何も気にしないで先輩にチョコ渡せばいいじゃん」


「そうだけど……」

「もし仮に、先輩に彼女がいたらチョコ渡すなんて考えなかった?」

「え?」

 先輩に彼女とか、考えたことなかった。
 居ない、って話しか聞いてないし。

 先輩に、彼女……。

「海羽は『好きです』の本命チョコじゃなくて、ファンとしてチョコをあげたいんでしょ?」

「……うん」

 即答出来なかったのは、自分の中に迷いがあったから。