牛の世話の途中たまたま通りかかり、裸の女の子に触れているジローの姿を見て悲鳴をあげた。



「イヤー!!! なんて破廉恥な事をしてるの!?
女の子を、こんな牛の糞だらけの場所で裸にするなんて」



ナンちゃんは険しい顔をしてジローの肩を左手でがっしり掴むと、右の拳でおもいっきりジローの顔を殴った。


「わたしはあんたをそんな子に育てた覚えはないわ!」



どうやら、ジローが間違いを犯したと勘違いしたらしい。



「違うー! このコが勝手に裸になってたんだ!」
ジローは必死に弁解しようとするが、ナンちゃんは聴く耳を持たない。
顔を手で覆い、絶望して泣き崩れた。


「なんて救いようのない子なの・・・」
女の子は、そんなナンちゃんの肩をそっと撫でた。
「ナンちゃん、泣かないで」
ナンちゃんは肩を撫でる女の子の手を握った。
「ありがとう。お嬢さんは優しいのね。家のジローが酷いことをしたってのに。ジローに代わって謝ります。謝って許されることじゃないけれど・・・」
シクシク・・・
ナンちゃんは言い終える前にまた泣き崩れた。