「…寒いよね、こんな場所で……」

まだ3月が始まったばかり。
いくら雪が降らないからって、こんな場所に置いていかれたら凍えてしまう。

「飼ってあげたいんだけど…大丈夫かな…」

昔、犬を飼っていたことがある。
自分が生まれたときにはすでに家にいて、私たちは兄妹のように育った。

だけど去年死んでしまった。
犬の寿命は人間よりも遥かに短いから。
悲しくなるから生き物を飼うのはやめよう、と父と母が話していたのを覚えている。

「…一緒にくる?」

問いかけると力なく「くぅん」と答えた。
目の前の仔犬は確かに生きている。
見捨てなければまだまだ生きていられる。

「よしっ、行こうか」

そっと箱を持ち上げて、川原にある石の階段をゆっくり登っていく──

「おい!」

──と、いきなり後ろから声をかけられた。