そのときは。



『ごめんなさい、どちら様ですか?』


本当に知り合いだとしたら、こんな返信、失礼極まりないけど、他に何て送ればいいかわからなくて、素直に聞く道を選んだ。





どきどきと心臓を高鳴らせながら、ケータイがまた鳴るのを待つ。


待っている間もこの“ユウ”は何者なのか、くたびれた脳をフル回転させて考えてる。


文章の雰囲気からして、たぶん男。


大学の友達に雄太や優士なんて名前のヤツはいるけど、わざわざ「ユウ」なんて名前で登録したりしないしなぁ…





あたしのこのもやついた気持ちを映し出すかのよう。


まだ夕方だというのに、窓の外はずいぶんと暗かった。