藤森が指差す人物は間もなく開演だというのになぜか開場を立ち去って行く。

おまけにその入り口はチケットがなければ入れない場所。

わざわざお金を出して買ったチケットを目的の公演を見ずに無駄にする事があるのだろうか。


「警部、もしかしてこの人物が。」

「そうだ。多分我々にふざけた電話をし終えて急いで安全な場所に逃げた犯人だ。時間的にもあっているからな。」


風間はモニターの端に映っている録画された時間を見ながら確信する。


「なら早くこの人物を特定しましょう!」

「いや、それなら既に済んでいる。」

「本当ですか!?誰ですか!?」


すると風間はモニターに映っている人物を指差した。


「いいか藤森、よーくこの人物を見てみろ。」


藤森はチカチカする画面に顔を近づけて人物が誰なのか確認する。


「…あれ?もっもしかして!」


記憶の糸を手繰り寄せある人物を思いついた。