カウントダウン・パニック

渡辺はメモを広げて説明を始める。


「先ず始めに俺たちが始めに解釈した“主役は自らのスペルを解除コードとした爆弾により死ぬ。主役はその時を舞台で待つ”は多分大方あってる筈です。」

「でもこの考え方だと被ってるアルファベットの爆弾は解除出来ないわ?」

「それです!」


渡辺は突然確信を持った人差し指を赤羽に向けた。


「わっ私?」

「違います。赤羽さんが今言った“被ってる”です。」


指をさされた赤羽は意味が分からず首を傾げる。

すると渡辺は赤羽に向けていた指を下ろし続ける。


「実は犯人が言ったヒントには二重の意味があったんですよ。」

「二重に?」

「はい。本来暗号など解けてしまえばそれが正解だと思いそれ以上は解読しようとしない。もし解いた後に違和感に駆られもう一度解読しようとしても一度だしてしまった答えに捕らわれがちになる。」

「確かに。」


寺崎は渡辺の説明に頷く。


「犯人はそれが狙いだったんです。もしヒントを解いたとしても出る正解は五十パーセントだけ。少なくとも我々の足留めが出来るって訳ですよ。」