「すみません。知りません。」


赤羽ははぁと溜め息をつく。


「まっ、今回の事件はオペラ劇場であってオペラそのものじゃないからいいんだけどね…。」


少し残念そうな赤羽を見て渡辺は何となく申し訳ないような気がした。

少々沈黙が続くと再びパソコンを弄る。


「赤羽さんって音楽詳しいんですか?」


パソコンを打つ手を止めずに質問する。


「んー別に凄い詳しい訳じゃないけど、音楽は大好きだから結構コンサートとか行くのよ。」


渡辺はなるほどと納得する。


「ていうか、学生の頃音楽の授業とかで耳にした事ないの?」


赤羽は不思議そうに質問する。

すると渡辺は少し考えてから答える。


「覚えてないです…。記憶にあるのは《アイーダ》ぐらいですかね。」

「有名どころね。この中の《凱旋の行進曲》はサッカーの応援にも使われてるし。」

「でもその曲以外アイーダについて知っていることは何一つありません…。」

「…まぁ…そういうものよ…。」


赤羽はこれ以上渡辺と音楽の話しをしても仕方ないと思った。


「…とにかく急ぐわよ!」


そう言うとアクセルをいっぱい踏み先を急いだ。