16時30分00秒


開場



扉が開かれるとともに客がどんどん入ってくる。

「只今手荷物検査を実施しております。お客様には大変ご迷惑をお掛けいたします。」


客には警察である事を悟られぬように検査を進める警察官たち。




その頃風間は事務室で犯人からの電話を待っていた。

阿部の話しによると風間がいない間犯人からの連絡はなかったらしい。

いつかかってくるか分からない電話に風間は勿論、岩井も阿部を含めた事務員たちもそわそわしていた。

その時。



トゥルルルルルル



電話のコール音が事務室に響く。

岩井は逆探知の準備をしてから阿部に合図を送る。

阿部は軽く頷いてから電話に出た。


「もしもし…?」

〔あれ?今度はあまり声が震えてないね。ははっ、刑事に代わって?〕


電話は勿論あの犯人だった。

奴は余裕の素振りを示す。

風間は阿部から受話器を受け取った。


「もしもし。」

〔ああ、刑事さん。元気?〕

「私は刑事ではない。警部だ!」


犯人のふざけた会話に多少苛立ちを覚える。


〔あっそうなの?それはすまない、ケイブ殿。〕