「くそっ!」
風間は頭をかきむしった。
「逆探知は!?」
「ダメです!通話時間が短すぎます!」
「そうか…」
風間は近くにあった椅子に腰を掛けた。
「おそらく奴はこちらが逆探知しているのを知っている。いや、する事前提で電話してきている。」
「…そうか。だから犯人は警察に通報したと知っても平気だったんだ!」
風間の考えに相打ちをするかのように寺崎が答える。
「だから面倒でも通話時間を短くするために何回も電話してきているんですね!」
「多分な。」
風間は少し考えてから続ける。
「おそらく犯人からの電話はまたくるだろうが、逆探知が成功する確率は極めて低い。それよりも今は十個の爆弾すべて探し出し解体するのが賢明だ。」
風間の言葉に寺崎と阿部、そしてその場にいる数名の事務員は息を呑む。
「寺崎、悪いがみんなを至急応接室に集めてくれ。開場前に伝えなくてはならない事ができた。」
「分かりました!」
寺崎は急いで部屋を飛び出した。


