カウントダウン・パニック

すると再び藤森は口の端を持ち上げる。


「あなた“自分は爆弾犯ではない”と言いましたよね？」

「ああ。言ったとも。」

「何で今日この劇場で起きた事件が爆弾に関する事だと知っているんです？私はただ“今回の事件の犯人”としか言ってませんし、今までも一度も爆弾に関する話しはしていないんですが？」

「なっ！？」


驚いた仁科はかなり焦っている様子である。


「そっそれは…そうだ！休憩時間に楽屋の方に顔を出して、その時テレビで！」


引きつった愛想笑いを作りながら言う。


「それはおかしいですね。実は今混乱を防ぐためにこの劇場内の全てのライフラインは使えなくしてあるんです。」

「な…に…！？」


仁科はかなり驚愕しているようだ。


「それに仮にテレビでこの事件を知っていたとしてもなぜ逃げなかったんです？普通、自分に危機迫っている事を知れは逃げると思うんですがね。」


すると仁科は力が抜けていくようにその場にへたり込んだ。

それを見た赤羽と渡辺はすかさず仁科を捕獲した。


「今回の事件の動機はやはり湯布院爽さんの敵討ちですね？」


藤森が訊ねても仁科はうなだれているだけで返事がない。