「お疲れさまです〜」

夜勤の松本さんが、あたしと夏目に声をかけて
帰って行こうとする。

松本さんは、
あたしが来るまで週刊誌を読みながら
待ってくれていた。

「…あ、松本さん、
遅刻してしまってすみませんでしたっ!!」

あたしはがばっと頭を下げた。

「ええよ、べつに。
そんなに遅刻してへんしな。」

松本さんは眠たそうな目を細めて笑い
帰って行った。

「お疲れさまです」
「お疲れさまですっっ」


夏目とあたしの声がきれいにかぶって

夏目はあたしを見て
あたしも夏目を見てて、

ふたりでちょっと笑った。

「夏目、今日ごめんねっ」
あたしが下げた頭を、
夏目がさらに、がしっと手で押し下げる。

「いたたっ」

「頭が高いわっ」

夏目は笑った。



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