「だけど……沢原くん、人気者だし。皆、私に彼氏がいるって思ってるし。何だか、沢原くんに乗り換えちゃったみたいで、調子いいよね」



花村さんは斜め上を見、人差し指を顎に当て、言った。



「んー。それはそれでしょ。いいじゃん、愛があれば」



そうして、花村さんは缶のお茶をぐびぐびと飲み干し腕時計を見ながら言った。


「さ、自分の気持ち、伝えなよ。陵の再試も、もうすぐ終わることだし」



「……うん。ごめんなさい」



「うふふ。何も香田さんは悪くないんだから、謝ることないのよ。私は陵に彼女ができるってこと、凄く嬉しいんだから」



そう言って、花村さんは席を立った。



「じゃ、私、行くね。告白がんばって」
 


花村さんは自分のカバンとお茶の空き缶を持って、昇降口の方へ行ってしまった。



私は、ゆっくりと、ミルクティを飲み、気持ちを落ち着けていた。