私が自分の席に着くと、私にそう言ってきた子がいた。



顔をあげたら、それは、花村さんだった……。



「……ああ、なんか寝付けなくてね」



「今日、陵の再試の日だから?」



花村さんが、沢原くんのことを“陵”と呼んだ。



それだけで、胸がツキンと痛む。



「あはは。まあ、そんなところ」



「責任感強いのね、うふふ」



花村さんは可愛らしくそう言って、私の隣の席の、もう人だかりができている沢原くんのところへ言った。


「ぎゃはははは、ウケるね、それ」



「だろー」