不意に、沢原くんが顔を上げて。



「……やりたくなかっただけ」



と、呑気に呟いた。



――何なの?



心配して、損した!
 


そんなこんなで、この日は、沢原くんの言葉に、いちいち翻弄されながら。



雑談だけで終わってしまった。
 


気がつけば。



教室の窓の外には、団地の燈る光が、まるで宝石箱のように溢れて光っていた。