竹林の中で一人、男が野宿をしていた。

夜の竹林、光は空に浮かぶ月と男の前の焚き火しかない。

男の目の前では火が爆ぜる。

無言のまま、小枝を放り込んでいく。

男以外には誰もいない。

しかし、寂しいという感情はない。

任務だから、終われば里へ帰る事が出来る。

それが男にとっては強みであった。

狼の鳴く声が響く。

近くはない。

だから、男は恐れない。

いや、近くであっても男は恐れはしないだろう。

何故ならば、男は狼よりも恐ろしい妖魔だからだ。