番外編

「そう。でも、地位なんて要らないでしょう」

郁乃の横顔はどこか寂しそうで儚げだ。

「じゃなきゃ、こんな辺境の地にいないわな」

手持ち無沙汰な蛍は三つの小石を回していた。

「依頼は何だ?」

「最近頻繁に起こる神隠しについて、私と共に探って欲しいでしょう」

「面倒くさそうな依頼だな」

隣にいるのが郁乃でなければ、蛍は帰っているところであった。

「いつから起こっている?」

「一週間前」

「連絡が遅いくらいだな」

蛍が水切りの要領で湖に石を投げる。

要領がいいのか、魚のように跳ね回って飛んでいく。