番外編

走りながらも懐に仕舞ってあったタバコに火をつけて、闇へと投げつける。

すると、タバコが爆発し、闇が粉砕されて郁乃に隙が出来る。

隙を突いて、郁乃の傍に辿り着いた蛍は、郁乃を抱きしめる。

「よしよし、照れた郁乃は可愛いなあ」

頭を撫でながら、郁乃の様子を伺う。

郁乃は自分の中に存在している陣内蛍という男に常に惑わされていた。

それでも一つ確実な事があるとするのなら、彼女にとって陣内蛍は、掛替えのない大きな物だという事だった。

「こんな、こんな女ったらしが、本当に活躍した人間とは思えないでしょう」

郁乃は頬を赤く染めながらも、蛍の顔を見る。