モノ・クロ

+.陽太.+


僕は今、全速力で走っている。


僕は走るのは苦手なので、これが精一杯の速さだ。



体が酸素を求めて、激しく心臓を動かす。


その息苦しさに耐えながら、ただ前を目指す。




流れていく景色。



その景色の中へ、突然前を歩く女の子の後ろ姿が見えた。

彼女の長く透き通るような栗色の髪がふわふわと風に揺れていた。




あれは・・・。

「美月!」



彼女は突然の自分を呼ぶ声に反応した。




彼女の柔らかい髪がふわりと漂う。



美月は僕に気づき振り返った。