強い力と恐怖で、あおいは抵抗できなかった。



闇夜でその人の顔や服が見えない。



腕を引かれるがまま、あおいは屋根を伝い、とうとう地面におりた。


そこは屋敷の外の路地裏だ。



あおいが逃げられないと分かったのか、その人は掴んだ手を離し、しょっていたらしいリュックを取出し、ライトを出した。



道を照らすのに使うのかと思った。



しかしその人はライトを自分に向けたんだ。



あおいはあっと息をのんだ。



まさか。まさか。



「…松永さん……?」



照らされたそこにあったのは、汗を拭う松永さんだった。



「どうして?」