藤咲さんは部屋まで付き添ってくれた。


どうしてこんなに優しい人なんだろう。



「犯人を捕まえるしかありませんね…」


雨戸の締め切った窓の方に目を向けながら藤咲さんは呟いた。


「…どうやって……だってまだ犯人が松永さんだって決まったわけじゃないのに」


藤咲さんは窓へ逸らした目を細めた。



「…ではまず、松永が犯人かを検証しましょう」


「検証?」


「ええ…。しかしそれなら松永の動きを見ないといけません。あおい様と私は外出出来ませんから、警備員に任せるしか無いでしょう」



「警備員さんが監視に行ったらものバレじゃない?」


「…探偵を頼むことも出来ますね」


「……」

あおいは顔を顰めた。

はたしてそれで松永が犯人だと分かるのだろうか。


捕まえることが出来るのだろうか…


「いっそのこと、松永さんを容疑者として捕まえちゃおうよ」


「え?」


藤咲さんは目を開きあおいを見た。


「手っ取り早いと思わない?」


あたしは身を乗り出した。


「松永さんが犯人ならまたあたしに会いに来るって言ったじゃない。その時に捕まえちゃえばいい!」



「あおい様、そんな上手く行きませんよ」

藤咲さんは眉をひそめた。


「だって藤咲さんがいつもいてくれてるから…藤咲さんがいれば楽勝よ」

あたしは藤咲さんの腕を掴んで言った。

藤咲さんはゆっくり微笑んだ。