みつあみ少女にティアラを乗せて ж1部



「その人は、あたしを探してた。でも誰にしろ誘拐してたみたい…。それで…」




このことを誰かに話したら、お前の大切な人を地獄に落とす――。




「そんなことを」


藤咲さんは顰める。


口調に怒りがこみあがっている。



「ごめんなさい藤咲さん…あたしが勝手に庭なんか歩くから」



「……」



「あたし、日本の生活の感覚が抜けてないみたい…。庭に出ることが少しでも危険だったなんて知ら…」


あたしの言葉が途切れたのは、不意に藤咲さんがあたしの頭に手を置いたからだった。


「…知らなくて…」

しょぼしょぼ声が小さくなる。
怒り気味の藤咲さんでも、どきりとしてしまう馬鹿な自分がいた。



「謝ることは無いのです」


怒った顔でも、口調は悲しげに聞こえた。


「藤咲さん…」


「あおい様。私は心配でした。元気が無かったのは、その仕業ですね」