赤めの癖のついた髪
ものを見透かすような鋭い瞳。
そして、日本人の顔だ。
こんな人、屋敷にいたのだろうか?
「あなたは誰…?」
たずねた直後だった。
赤毛の人は、あたしを抱きしめた。
あおいは目を見開く。
反動で尻餅をつく。
赤毛の人は、耳元で囁いた。
「このお屋敷の近くを通り掛かったんだ。悲鳴がして慌てて来たら、君が震えていたから…」
知らない人なのに
優しく抱き留められて安心してゆく。
温もりを感じた。
涙が出そうだ。
「もう大丈夫だよ…僕がいるから安心して」
頭を撫でてから、赤毛の人はそっと手を離した。
あたしは呆然と彼を見ていた。
あたし、どうかしちゃったのかな…
抱きしめられて、ふらふらと夢を見ているような…。
「君はここのメイドさんかい?」
彼はたずねた。