「あおい様」
目が覚めたのは、この心配そうな声だった。
布団はベッドからずり落ちている。
熱い。あたしは汗だくだった。
頭がふらふらする。
寝ぼけまなこで辺りの様子を確認する。
今、何時なんだろう?
部屋の中は暗い。
夜中だろうか。
静かだ。時計が時を刻む音が響く…。
「あおい様、大丈夫ですか?あおい様…」
後ろに首を回すと、薄暗い空間に藤咲さんがいた。
膝を折って座り、あたしを見ていた。
バサッと起き上がり、
どうしてこんな時間に、藤咲さんがいるの?
と言おうとした時、
「うなされてました」
藤咲さんが静かに言った。
「……うなされて…?」
ぽかんと言葉を発したとき、
ぎゅるるる…
お腹が鳴った。

