次の日にはすっかり晴れ、雨上がりの清々しい空気にみちていた。



だからあおいはこっそり屋敷をでた。お昼のホットドッグをバックに入れて、手紙を置いて。


暗くなる前に帰れば、誰も心配しないよね。



貴族街を歩きながら、あおいは綾に電話を掛けた。


『あおい?どうした?』

綾の明るい声が聞こえた。


学校にいるのか、周りで話し声がする。ざわざわと賑やかだ。


それを聞いただけで、あおいは胸が熱くなった。


「あたしさ、やっぱり学校に帰りたい…」


『…あおいどうした?じゃあ帰っておいでよ』



「でもお母さんが許してくれるかな?」


あおいは薄く笑った。


「それに帰ったらもう戻りたくなくなっちゃうかも」



あたしの居場所はいつも


学校だったから。



『あれ?あおい執事さんを好きになったんでしょ?帰りたいなんて、なんかあったの?』



綾は鋭い。


あたしは藤咲さんのことを話した。