朝。
「起きてくださいよ、あおい様」
誰かがあおいを揺さぶった。
「う~ん…もうちょっと…今日は土曜日でしょ…?」
あおいは寝返りをうった。
「規則正しい生活を心掛けなければ、だらし無い大人になってしまいますよ」
「だって昨日早起きしたから…」
「あおい様、私はあおい様がだらし無い大人になって欲しくはありませんから」
誰だよ?こんなうさん臭いこと言うのは…
あおいは寝ぼけていた。
だからその人に気付いたときは、またも悲鳴を上げて、ベッドから転がり落ちた。
「痛っ!ふ、藤咲さん…!」
「何時だと思っているんですか」
藤咲は柔らかく咎めた。
「ご、ごめんなさいっ!」
一気に眠気が吹っ飛んだ。
良くない。良くない目覚めだ。いろいろと。
藤咲は呆れたようにあおいを見ていた。
しっかり者の兄が妹の面倒を見てる…そんな感じだ。
藤咲さんは女の子の部屋に入るのに躊躇がないんだ。
それか、あたしが女の子だと思われてないのかもしれない。

